解決事例

事例012脊柱の変形障害(後遺障害等級第11級)を残した被害者につき、脊柱の変形は軽微であったものの、粘り強い交渉により、労働能力喪失率20パーセント、労働能力喪失期間を就労可能年齢(67歳)までとして、後遺障害逸失利益が算定された事例

ご相談内容

ご相談内容

依頼主
Lさん(30代・女性) / 職業:会社員

福岡県春日市在住の30代会社員のLさん(女性)は、普通乗用自動車を運転し、ホテルの敷地内で停車していたところ、普通乗用自動車に側面衝突され、第12胸椎・第1腰椎椎体骨折、外傷性頚部症候群等の傷害を負い、治療を継続しましたが、脊柱の変形障害及び首肩の痛みから時に頭痛が加わる等の障害を残しました。

弁護士の活動

弁護士の活動

当事務所は、Lさんの後遺障害診断書等の医証を獲得し、後遺障害等級の申請を自賠責に行い、自賠責より、第12胸椎・第1腰椎椎体骨折後の脊柱の障害について「脊柱に変形を残すもの」として後遺障害等級第11級7号に、首肩の痛みから時に頭痛が加わるとの症状について「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害等級第14級9号に認定されました(詳しくは、「脊柱の障害」「末梢神経障害」を参照してください。)。

そして、当事務所は、上記結果に基づき示談交渉を開始しました。

解決結果

解決結果

Lさんの脊柱障害は後遺障害等級第11級7号に認定されましたが、その変形は軽微であったため、後遺障害逸失利益について争いとなりましたが、当事務所の粘り強い交渉により、加害者側は当事務所の主張を概ね認め(労働能力喪失率20%、労働能力喪失期間27年間)、Lさんに対し、既払金のほか約1638万円を支払うとの内容で示談が成立し、Lさんに満足いただける結果となりました。

弁護士のコメント

弁護士 永野 賢二

脊柱の障害は、認定基準がある程度具体的ではありますが、その前提となる脊柱の変形や運動障害の原因(器質的変化)の有無や、その障害が残存したことによりどの程度労働能力に影響が生じるのかが争われる例が多いと思われます。

一般には、自賠責制度の運用において用いられている当該等級の労働能力喪失率表に従って労働能力喪失率が認められます。しかし、本件のように、脊柱の変形が軽微である事案においては、これをそのまま認めることは相当でないこともあり、後遺障害の残存期間及びその程度を予測することが難しいことを考慮して、労働能力喪失期間を分けた上、期間ごとに労働能力喪失率を逓減することもあります。そのため、訴訟手続きにより、かえって賠償金が下がることもあり得ます。

以上のとおり、紛争解決の手段として、必ずしも訴訟手続が最善であるとは限りませんので、事案に即した適切な解決ができるよう、弁護士に相談して頂きたいと思います。

文責:弁護士 永野 賢二

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