事例020異議申立により、後遺障害等級第14級を獲得した事例
- 担当弁護士永野 賢二
- 事務所久留米事務所
ご相談内容
依頼主
Tさん(20代・女性) / 職業:会社員
福岡県在住の20代会社員のTさん(女性)は、普通乗用自動車を運転し、赤信号に従って停車中、後方から進行してきた普通乗用自動車に追突され、その衝撃で、前方に停車していた車両に追突し、頚椎捻挫等の傷害を負い、治療を継続しましたが、右手がしびれている、首を後屈すると痛い、右手の力がはいりにくい等の障害を残しました。
弁護士の活動
Tさんは、既に、自賠責より、非該当の認定を得て、加害者側から示談提示(約120万円)を受けておりましたが、自賠責の認定に納得がいかないとの理由で相談に来られました。
そのため、当事務所は、Tさんの医証等を取り寄せた上で、自賠責に対し、事故態様並びに所見及び症状の推移等を具体的に主張立証し、訴え症状が本件事故を契機に発症し、継続している旨の異議申立を行いました。その結果、Tさんは、手がしびれている、首を後屈すると痛い、右手の力がはいりにくい等について「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害等級第14級9号に認定されました(詳しくは、「末梢神経障害」を参照してください。)。
そして、当事務所は、上記結果に基づき示談交渉を開始しました。
解決結果
加害者側は、当事務所の請求内容に対し、特段争うことなく概ね認めました。
そのため、加害者側が、Tさんに対し、既払金のほか約252万円を支払うとの内容で示談が成立し、Tさんに満足いただける結果となりました。
なお、本件事案では、後遺障害逸失利益の基礎収入について、本件事故前の年収約192万円(事故後は無職)ではなく、賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴計・女性労働者の全年齢平均の年収355万9000円が採用されております。
弁護士のコメント
本件は、異議申立てにより第14級9号が認定された事案でした。
後遺障害等級14級9号にいう「局部に神経症状を残すもの」とは、神経学的検査所見や画像所見などから証明することはできないが、受傷時の状態や治療の経過などから連続性・一貫性が認められ、説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるものをいうとされています。すなわち、事故態様並びに所見及び症状の推移等を具体的に主張立証し、訴え症状が本件事故を契機に発症し、継続している旨が説明可能であれば、認定の余地はあります。
本件事案のように、自賠責で等級を否定されたとしても、異議申立により認定結果が変わる可能性がありますので、あきらめずに、弁護士に相談して頂きたいと思います。
文責:弁護士 永野 賢二