解決事例

事例024左頚部痛、背部痛、両手のしびれ、頭痛、吐き気等の障害(後遺障害等級第14級)を残し症状固定前に退職した被害者につき、休業期間を症状固定日までとする等の認定を受け、大幅増額に成功した事例

ご相談内容

ご相談内容

依頼主
Xさん(30代・女性) / 職業:会社員

福岡県東峰村在住の30代会社員のXさん(女性)は、普通乗用自動車を運転して渋滞停車中、後方から進行してきた普通乗用自動車に追突され、その衝撃で、前方に停車していた車両に追突し、右肘関節捻挫、胸部打撲傷、頚椎捻挫、頭部外傷1型、外傷性頚部症候群等の傷害を負い、治療を継続しましたが、左頚部痛、背部痛、両手のしびれ、頭痛、吐き気等の障害を残しました。

弁護士の活動

弁護士の活動

Xさんは、既に、自賠責より、外傷性頚部症候群に伴う左頚部痛、背部痛、両手のしびれ、頭痛、吐き気等について「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害等級第14級9号の認定を得て(詳しくは、「末梢神経障害」を参照してください。)、加害者側から示談提示(約232万円)を受けておりましたが、その金額が妥当かどうか分からないとの理由で相談に来られました。

加害者側の提示額を確認すると、殆ど全ての費目がそれぞれ裁判基準よりも低額でした。そのため、当事務所は上記認定結果に基づき示談交渉を開始しましたが、金額が折り合わず決裂しました。

その後、当事務所は、適正な賠償を受けるため、福岡地方裁判所に訴訟提起しました。

解決結果

解決結果

本件訴訟における主な争点は、①休業損害、②後遺障害逸失利益でした。

Xさんは、本件傷害による長期療養休職期間の満了により、自然退職を余儀なくされ、その後の症状固定時まで休業を要しましたが、加害者側は、退職は合理的に回避できたから休業期間は退職前日までとすべきとか、失業保険金を控除すべきなどと主張しました。しかし、当事務所の立証活動により、裁判所は、失業保険金を控除することなく、休業期間について症状固定日まで認定しました。

また、後遺障害逸失利益について、加害者側は、労働能力喪失期間は3年を限度とすべき旨主張しましたが、当事務所の立証活動により、裁判所は、労働能力喪失期間を5年と認定しました。 以上より、加害者側が、Xさんに対し、(既払金のほか)約461万円を支払えとの内容で判決が確定し、大幅増額を実現することができました。

弁護士のコメント

弁護士 北島 好書

交通事故の被害者が、事故による受傷のため休業を余儀なくされた場合、休業によって現実に発生した経済的損失を休業損害として請求することができますが、事故後被害者が退職した場合、退職と事故との相当因果関係が問題となります。被害者の退職が、本件事故に起因すると認められる場合(退職と事故との因果関係が認められない場合は、退職後の休業期間の休業損害としては認められません。)、被害者の受傷の程度、回復の経過等を検討し、退職後、症状固定前までに再就職することが困難であったと認められる場合には、休業期間は症状固定日までと判断されることになります。これに対し、退職後、症状固定日までの間に、再就職が可能であったと判断される場合には、再就職が可能と判断される時期までの休業損害が問題とされます。

本件事案では、Xさんは、本件傷害による長期療養休職期間の満了により、自然退職を余儀なくされました。そして、判決では、Xさんの退職は本件事故に起因するものとされ、また、その休業期間については、医証等を考慮して(再就職の可能性もなかったとして)症状固定日までと判断しております。

本件のように、加害者側より、症状固定前に退職した場合の休業損害が否定されたとしても、具体的に主張立証することにより適正な賠償を受けることは可能ですので、あきらめずに、弁護士に相談して頂きたいと思います。

文責:弁護士 北島 好書

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