事例045事故態様について争いがあったが示談交渉で解決に至った事例
- 担当弁護士埋田 昇平
- 事務所福岡事務所
ご相談内容
依頼主
Sさん(70代・男性) / 職業:会社員
福岡県久留米市在住の70代のSさんは片側三車線の道路の第三3車線を走行中に第2車線から進路変更してきた自動車に衝突されました。幸い、大きな怪我はありませんでしたが、Sさんと相手方とで事故態様に関する主張に大きな食い違いがあり、修理費用やレッカー代に関する示談交渉が難航していました。
弁護士の活動
本件は物損事故として処理され、警察が物件事故報告書を作成しましたが、物件事故報告書の記載とSさんが主張する事故態様は大きく食い違っていました。そのため、当事務所は修理の見積を行った修理工場や保険会社の協力を得ながら、双方の自動車の損傷状況から事故態様を推認するための資料収集、意見書作成を行いました。
解決結果
物件事故報告書の記載からはSさんの自動車の前方と相手方の自動車の前方が衝突したように読めるため、Sさんにも一定の過失が認められる事故態様となっていましたが、自動車の損傷状況から推察すると、Sさんの自動車の後方から相手方の自動車が衝突したものと考えられました。交渉は難航しましたが、物的損害の一部を別の保険で対応することで最終的にはSさんの過失割合を0とすることを前提とした示談が成立しました。
弁護士のコメント
本件は物的損害のみの交通事故であり、物的損害のみの交通事故の場合、事故の見分の際、実況見分調書は作成されず、物件事故報告書という簡易な書類のみが作成されます。
物件事故報告書は、裁判の際に証拠として提出されることも多いのですが、簡易な書類なため、詳細な事故態様を反映していないことも多くあります。物件事故報告書の記載と異なる事故態様を主張する場合、ドライブレコーダーや目撃者の証言などがないかぎり、自動車の損傷状況などをもとに事故態様を推認するしかありません。
自動車の損傷状況から事故態様を推認する場合でも、簡易なレポートというレベルから、専門の調査会社に鑑定を依頼するという方法もあります。
また、物的損害の場合、使用する保険の種類を工夫することで、被害者ご本人の負担を小さくすることもできます。本件は、自動車の損傷状況から簡易なレポートを作成し、一部の物的損害については、相手方の対物賠償保険を使用しないという方法をとることで過失割合についてのご本人の意向を維持しつつ、示談に結び付けることができました。事故態様に争いがある場合には、ご本人にストレスがかかることが多いですが、本件では、弁護士にご依頼いただいたことでご本人のストレスを最小限に抑えつつ解決に導くことがで来たのではないかと思います。
文責:弁護士 埋田 昇平